今日の午後歩いていると、きらきらと光るものが、私のお腹あたりを目掛けてゆらゆらと飛んできた。蝉だ、蝉の方も人間だと思ったのか、そのまま私の前で90度曲がって道路に降りたというより、落ちた。蝉はゆっくりゆっくりと歩いて道路を渡った。車が走ったがひかれずにゆっくりと歩いた。力を振り絞って軽やかに存在した。私はただそれを見ていて、光を浴びた蝉は輝いて見えた。命は美しいと思った。アトリエに戻り、キャンバスに向かった。

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